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新型コロナウイルス感染症の遺体の解剖はどうするのか?

 

新型コロナウイルス感染症(CVID-19)による

日本の感染者数は4月28日現在で13576人で、

さらに、死亡者数は376人となっています。

 

こういった状況で、遺体を病理解剖しなくては

ならない場合があると思われるのですが、

実際に遺体は解剖できるのか?

解剖する場合はどのような手順なのか?

について調べてみました。

 

そこで、過去に1万体以上の検案、5000体以上の

法医解剖を行ってきた、杏林大学医学部名誉教授の

佐藤喜宣氏の話をまとめてみます。




CVID-19の遺体解剖の注意点

 

新型コロナウイルス感染症が広がっていることで、

解剖が必須となる異状死体が感染している可能性も

出てきています。

 

新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方の解剖は

可能ですが、エボラ出血熱やペストと同様、

一類感染症に対する完全防備が必要となります。

 

一類感染症とは?

感染力と罹患した場合の重篤性等に基づく、

総合的な観点から見た危険性の程度が

最も危険な感染症。

 

エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、

南米出血熱およびラッサ熱のウイルス性出血熱、ペスト、

マールブルグ病が指定されている。

 

感染の可能性のある細菌やウイルスが外部に

漏れないよう解剖室内を陰圧にし、なおかつ

細菌やウイルスが外に出ないよう排気部分に

バイオフィルターをかけ、血液などを流さずに溜め、

溜めたものはアルコール、ホルマリン、

次亜塩素酸ナトリウムといった殺菌・抗ウイルス剤を

入れて、医療廃棄物として焼却します。

 

こういった環境が整った所でしか、解剖はできません。

 

都内では、東京都監察医務院、あとは病理解剖や

法医解剖で感染症を扱うことができる解剖室のみと

なります。

 

そして、通常の解剖と異なることは、頭蓋骨を切って

開頭する時にストライカーという電動カッターを

使用しません。

 

ギブスを切る時にも使われているストライカーを

使用すると粉末が舞ってしまい、その粉末を

吸ってしまうと空気感染してしまうのです。

 

肋骨を切って開胸する時もストライカーは使用せず、

手ノコギリを使って空気感染を防ぐ必要があります。

 

そして、解剖後の遺体は納体袋で包みます。

 

全体が透明、もしくは顔の部分だけが見える状態に

なっている納体袋もあるのですが、葬儀業界でこれを

常備している会社はほとんどありません。

 

感染防止のため気体も液体も通さない非透過性と

なっていれば納体袋として役割を果たします。




医学界と葬儀業界の関係

 

1991年に厚生省(現厚生労働省)の以来で

「エバーミング研究班」を立ち上げ、

医学界と葬儀業界の関係ができ上がりました。

 

エバーミングとは遺体を消毒や保存処理、

または必要に応じて修復することで、

長期保存を可能にする技法です。

 

当時は手袋をはめて葬儀を執り行っていると、遺族から

死者への冒トクと言われてしまう風潮があったのです。

 

葬儀関係者の間では素手のままで対応していた

地域もあったため、過去には遺体から結核に感染して、

亡くなってしまった葬儀関係者もいました。

 

今では警察も医療機関も手袋とマスクをして、

遺体に対応していますが、これは1995年に起きた

地下鉄サリン事件以降のことです。




中国のCVID-19の遺体解剖例

 

中国では華中科技大学同済医学院の病理解剖チームが

2月下旬に、新型コロナウイルスによる

肺炎の死亡患者9人の病理解剖を行い、

「病変は重症急性呼吸器症候群(SARS)と類似性が

ある部分と違う部分がある」と発表しています。

 

日本でも解剖を行った場合のデータ情報は世界の国々と

共有していくことが急務です。

 

佐藤喜宣氏のプロフィール

 

佐藤喜宣氏プロフィール

生年月日:1949年7月28日

出身:東京都

出身校:日本大学

研究分野:法医学

研究機関:杏林大学

 

略歴

1979年 日大医学部法医学専攻修了、医学博士取得

1980年 日本大学医学部講師

1982年 琉球大学医学部助教授

1985年 東京都観察医務局・医長監察医

1987年 杏林大学医学部法医学教室教授

2016年 杏林大学医学部名誉教授